私が迎えた受託思考の結末
2008年、私はSNSの運用代行事業を始めました。
当時、SNSコンサルという事業をやる会社ができ始めていました。
でも、実際に企業アカウントを運用する事業者は、ほとんどいなかったんです。
コンサルと運用は全然違う仕事でした。
コンサルは、分析して方針を示す仕事。
運用は、結果を出す立つ仕事です。
投稿を作る。
ユーザーと会話する。
炎上に気を配る。
企業のマーケティング意図を汲み取りながら、ユーザーとのコミュニケーションを成立させる。
今だとマーケティングコミュニケーションという言い方もしますが、当時は、そんな言葉も一般的ではありませんでした。
事例もない。海外から探す。
説明も難しい。
そして何より、そのスキルセットを持つ人材がいませんでした。
ライターだけではできない。
マーケターだけでもできない。
カスタマーサポートだけでも足りない。
企業の意図を理解しながら、ユーザーと自然に会話し、マーケティング上の目的を達成する。
かなり特殊な仕事でした。
でも、私は、そこに価値があると思いました。
運用を通じてノウハウを蓄積し、それを他のクライアントに横展開する。
それが、この事業を広げる勝ち筋だと考えました。
結果、仕事はどんどん来ました。
そもそも、運用できるプレイヤーがほとんどいなかったからです。
同じクライアントのコンペで、複数のSNSコンサル会社から、同時に運用の依頼を受けるようなこともありました。
引っ張りだこでした。
大企業のアカウントも、いくつも担当しました。それはそうです。できる人がほんとに少ないから(今では掃いて捨てるほどいますよね)。
従業員も増えました。適切なスキルセットを持つ人材を探すのに、SNSでスカウティングもしてました。
結果、会社としての規模も拡大しました。
でも、今振り返ると、それはとても脆い成長だったんです。
なぜなら、私たちは最後まで「受託する側」から抜け出せなかったからです。
成果を出しても、クライアント企業からの信頼はコンサル会社の手柄になる。
現場で得たノウハウは、最終的にクライアント企業に蓄積される。
教育した人材は、クライアントに引き抜かれて(うちで培ったノウハウを持って)独立する。
SNSが普及し、誰でも使えるものになるにつれて、運用代行そのものの希少性は下がっていく。
つまり、忙しくはなった。
売上も増えた。
会社も大きくなった。
でも、事業にはなっていなかった。穴の空いたバケツに人材と案件を入れ続けるような状況に気づいていなかった。
これは、今だからわかる私の反省です。
あの時の私に、もっと事業を作る意識があれば。
受託で得た知見を、自社の資産に変える設計ができていれば。
運用ノウハウを、仕組み、教材、ツール、メディア、コミュニティ、プロダクトに変える発想があれば。
もっと違う展開ができたと思います。
でも、その時は、仕事が回っていて、売り上げもあがり、順調だと思っていた。
でも、脆かった。
受託は悪くありません。
むしろ、現場に入れる最高の学習機会です。
ただし、受託思考のままだと、学習したものが自社に残りにくい。
クライアントの課題を解く。
納品する。
また次の案件を取る。
これを繰り返すだけでは、いつまで経っても自社の事業は育ちません。
ビズデブ思考とは、ここで一段、視点を上げることです。
この案件から、何を学べるか。
この学びは、他社にも使えるか。
それを仕組みにできるか。
自社の資産にできるか。
自分たちが値付けできる商品にできるか。
受託を、受託で終わらせない。
現場で得た学びを、事業の種に変える。
事業とは、案件を回す度にストックされ、仕組み化が進んでいくもののことです。
大きな仕組みを作らなくていいんです。でもずっとゼロだとしんどい。
考え方を変えるだけでとずいぶん変わる。
これが、私が今伝えたいビズデブ思考です。
受託という事例をあえて出しているのは、AIと競合したいまたからで、事業化されていない他の仕事も同じです。
自社(自分)の事業を作るという意識。
ビジネスとして捉えて、開発する手法を手に入れる。そうした打ち手の幅を広げる。
この意識があるかどうかで、これからがまったく変わると思います。
ビズデブ思考は、思考のストレッチです。
大きな資本とかは関係ない。むしろ小資本や個人でビジネスを展開する人に向けたものにしていきたいと思ってます。
なぜなら、結局私は、大きな資本を調達する戦い方より、小さな資本でのジャイアントキリングに興奮する性質だったから(あとで気づいた)。
本当は20年前の自分に教えたかった。
でも、それはできないので、ビズデブ思考というテーマに載せて、そういうことをここでは発信していきたいなと思っています。

順風満帆に見えることでも、穴があるんですね。
毎回勉強になります!
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